「じっとしていられない」「すぐ忘れる」「順番が待てない」——その困りごと、特性かもしれません

「何度言っても変わらない」に、疲れていませんか?
食事中にすぐ席を立ってしまう。
「靴を履いて」と言ったのに、気づいたらおもちゃで遊んでいる。
公園でも、スーパーでも、手をつないでいられない。
並んでいる列に割り込んでしまって、謝ることが続いている。
何度言い聞かせても変わらない。
怒鳴ってしまって、後で自己嫌悪に陥る。
「この子、どうしてこうなんだろう」と思いながら、また明日が来る。
そんな毎日を送っている親御さんに、まず伝えたいことがあります。
お子さんは、わざとやっているわけではありません。そしてあなたの育て方のせいでもありません。
「じっとできない」「忘れる」「待てない」——これらの困りごとの背景には、脳の特性が関係していることがあります。特性を知ることで、関わり方が変わります。そして関わり方が変わると、親子ともに少し楽になれます。
その困りごと、ADHDの特性かもしれません
ADHD(注意欠如・多動症)は、脳の神経発達に関わる特性です。「落ち着きがない子」「だらしない子」というイメージを持たれがちですが、実際には本人がどれだけ頑張っても、脳の仕組み上コントロールしにくい部分があるという状態です。
ADHDの特性は大きく3つに整理できます。
① 不注意
- すぐに気が散る・集中が続かない
- 忘れ物が多い・なくし物が多い
- 話を最後まで聞けない
- 指示を聞いていたはずなのに、途中で別のことをしている
② 多動性
- 席に座っていられない・常に動いている
- 手足をもじもじさせる・椅子をガタガタさせる
- 静かにしなければいけない場面で走り回る
- しゃべり続ける・場の空気を読まずに声を出す
③ 衝動性
- 順番が待てない・割り込んでしまう
- 考える前に行動する
- 思ったことをそのまま口に出してしまう
- 感情のブレーキが効きにくく、カッとなりやすい
これらは「意志の弱さ」や「しつけの問題」ではなく、脳内の情報処理や抑制機能の働き方の違いから生じています。「わかっているのにできない」のが、ADHDの特性を持つ子どもの本音です。
「男の子だから」「まだ小さいから」で見過ごしていませんか?
ADHDの特性は、幼児期には「元気な子」「やんちゃな子」として見過ごされることがよくあります。特に男の子に多く見られることもあって、「活発なだけ」と判断されてしまうケースも少なくありません。
しかし、特性に気づかないまま年齢が上がると、こんな困りごとにつながっていくことがあります。
- 小学校で授業中に座っていられず、注意を受け続ける
- 忘れ物・提出物の未提出が重なり、先生や親に怒られる機会が増える
- 友だちとのトラブルが増え、「問題児」のレッテルを貼られる
- 「自分はダメな子だ」という自己評価が根付いてしまう
早めに特性を理解してサポートを始めることで、こうした「二次的な困難」を防ぐことができます。 特性そのものをなくすことはできなくても、困りごとを減らして、自己肯定感を守ることはできます。
家庭でできる関わり方のヒント
「特性があるなら、どう関わればいいの?」——よくある場面ごとにヒントをご紹介します。
「何度言っても聞かない」には:短く・具体的に・目を見て
ADHDの特性がある子どもは、長い指示を最後まで処理しにくいことがあります。
❌「早く靴を履いて、忘れ物がないか確認して、玄関で待っててね」 ⭕「靴、履いてね」→ 履けたら「次、帽子」
一度に一つ。短く。できたらすぐ認める。 これだけで、動けることが増えます。
「すぐ忘れる」には:視覚でサポートする
口頭での指示は記憶に残りにくいことがあります。やることリストをイラストで貼っておく・持ち物を前日に一緒に並べる・チェックリストを習慣にするなど、「目で見てわかる仕組み」 を用意すると、本人の負担が減ります。
「待てない」には:待つ時間を見える化する
「あと少し待って」は、ADHDの特性がある子どもにとってとても難しい指示です。「あと少し」がどのくらいかイメージできないからです。
タイマーを使って「この砂が落ちきったらおしまい」「針がここに来たら順番」という形で、待つ時間を目に見える形にすると見通しが持ちやすくなります。
「衝動的に動く」には:行動の前に一呼吸の習慣を
「やりたい!」と思った瞬間に動いてしまう子には、「まず止まって考える」習慣を少しずつ育てていきます。ただしこれは即席では身につかないので、毎日の小さな練習の積み重ねが必要です。療育でも取り組む内容なので、家庭と連携しながら進めましょう。
「怒鳴ってしまったとき」には:自分を責めすぎない
ADHDの特性がある子どもとの毎日は、本当に体力と気力を使います。怒鳴ってしまうことがあっても、それはあなたが悪い親だからではありません。
大切なのは「怒鳴らないこと」ではなく、「怒鳴った後に関係を修復すること」です。「さっきは大きい声を出してごめんね」と言えるだけで、親子の信頼関係はちゃんと保たれます。
療育でできること
家庭での工夫と並行して、療育では専門的なアプローチでお子さんの力を育てていきます。
自己調整力を育てる
衝動性や多動性のコントロールは、発達とともに少しずつ育つ力です。療育では、遊びや活動を通して「止まる」「待つ」「考えてから動く」という経験を積み重ねていきます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
「順番を待つ」「相手の話を聞く」「気持ちを言葉にする」といった対人スキルを、安全な少人数の環境の中で練習します。失敗しても責められない場所で繰り返し経験できることが、療育の大きな強みです。
「できた」を積み重ねる支援設計
ADHDの特性がある子どもは、叱られる機会が多くなりがちです。療育では意図的に「できる場面」を設計し、成功体験を積み重ねます。自己肯定感を守ることが、長期的な育ちにとって最も重要な支援の一つです。
保護者へのサポート
「家でどう関わればいいか」「学校や保育園にどう伝えるか」——療育で見えてきた特性の理解や関わり方のヒントを、保護者の方と丁寧に共有します。子どもへの支援と同時に、親御さんへのサポートも療育の大切な役割です。
こんなサインが続くなら、一度相談を
以下のような状態が日常的に続いている場合は、専門家への相談を考えてみてください。
- 食事・着替え・就寝など、毎日のルーティンが毎回大騒ぎになる
- 保育園・幼稚園から「落ち着きがない」「集団行動が難しい」と言われた
- 危険な行動(飛び出し・高い場所へ登るなど)が多く、目が離せない
- 親自身が育児に疲弊していて、余裕がなくなっている
「診断がないと相談できない」は誤解です。 気になる困りごとがあれば、診断の前でも相談・見学・利用ができます。まずは話を聞いてもらうだけでも構いません。
ほしぞらキッズ Kira のご紹介
印西市にある ほしぞらキッズ Kira は、児童発達支援と放課後等デイサービスを併設した療育施設です。
「じっとしていられない」「すぐ忘れる」「待てない」——そういった困りごとを抱えるお子さんへの支援を、一人ひとりの特性に合わせて行っています。
ほしぞらキッズ Kira が大切にしていること
- 「困った行動」を叱るより、背景にある特性を理解することから始める
- 「できない」ではなく「まだ練習中」という視点で関わる
- 保護者の方の気持ちが楽になる関わり方を、一緒に考える
- 就学後も同じ環境で継続できる安心感(放デイ併設)
「毎日怒ってばかりで自分が嫌になる」「どこに相談すればいいかわからなかった」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度話しに来てください。
脳の特性を知ることで、関わり方は変えられます。 関わり方が変わると、親も子も、少しずつ楽になれます。
見学・相談は随時受け付けていますので、お気軽にご相談ください。